宮地エンジニアリンググループの強み
国内最大規模の臨海工場の力
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宮地エンジニアリング株式会社(=MEC)千葉工場は、長さ約1㎞、幅約230m、東京ドーム4個分の広さを持つ橋梁製作工場で、長大橋の大ブロック加工設備と浜出し用岸壁も有する業界トップクラスの生産力を誇る工場です。また、エム・エム ブリッジ株式会社(=MMB)は、その一部を市原工場として運用しており、屋外の仮組立ヤード等の設備についてもMECと共同で使用しております。2022年10月のNHK放送「有吉のお金発見 突撃カネオくん!」においても、構内を自転車で移動しなければならない「巨大橋梁製作工場」として紹介されました。
1 大ブロック加工設備とは
製作部材の大型化および景観重視による部材形状の多様化に対応するため、平成元年6月に大ブロック製作に対応可能な大型工場を建設しました。
大型工場は300tもの大ブロックの荷扱いが可能である上に、5軸制御の万能型CNCフライス機(切削機)を設置しており、高い製作精度が求められる長大橋主塔の大ブロック加工も行う事が出来ます。過去には、当時世界一の吊り橋であった明石海峡大橋の主塔の大ブロックの加工も行いました。
2 大ブロック浜出し用岸壁とは
千葉工場には海に面した岸壁を有する大きな地組立ヤードがあります。陸上輸送をせずに架設する事が出来る大型海上橋の場合は、地組立ヤードで組み立てた大ブロックをそのまま浜出し、運搬して架設する事が出来ます。千葉工場は、大ブロックの浜出し設備を有する臨海工場です。
具体的な浜出しとは何か、かなえおおはし(気仙沼湾横断橋)の主塔(高さ約100m)の例でご説明します。先ず、JV各社で製作・塗装された部材を千葉工場まで運搬し、岸壁に隣接する地組立ヤードにて全ブロックを横に寝かせて完成系と同じ形に並べる仮組立を行い、全体形状の確認を行いました。そして、形状確認が完了したブロックを溶接により繋ぎ合わせて、上段ブロック(30m/320t)、下段ブロック(65m/890t)、基部(200t)の3つの大ブロックに完成させる地組立を行いました。
3 業界トップクラスの生産力を誇る工場とは
千葉工場は、1983年に当時の最新工場として本格的な稼働を開始しました。稼働開始より40年以上も経ちますが、時代に合わせた設備投資を常に行ってきており、現在でも年間30,000t以上もの鋼橋生産能力を有する、業界トップクラスの工場です。
ご参考迄に、千葉工場における鋼橋(鋼製橋梁)の製作の流れを説明します。
設計図を基に製作に必要なNC加工機データ、溶接ロボットデータ、製作帳票などの生産情報を作成します。また、3Dによる施工性確認も行います。
NC加工機で罫線と呼ばれる切断位置・孔あけ位置、部品取付け位置の鋼板への記入を行います。なお、罫線前に溶接部となる箇所は鋼板のさび発生防止のための塗装を除去します。その後、同じくNC加工機で切断と孔あけを行います。
箱桁のフランジやウェブに取り付くリブ(縦リブ・補剛材)の溶接は、8台の多関節溶接ロボットを搭載した溶接ロボットシステムで自動溶接します。8台でのロボット溶接のため、品質の安定化だけでなく省力化、生産性向上に大きく寄与しています。溶接による変形は専用の機械で修正します。
I桁は、まずI組立装置でI型に組み立て、専用の自動溶接装置で溶接を行います。その後、補剛材を組み立て、補剛材溶接ロボットシステムで自動溶接を行います。I桁の製作のほとんどが機械化・自動化・ロボット化されています。
箱桁はパネル組立したフランジ・ウエブ等の部材をクレーンでブロック形状に組み立てていきます。組立後は溶接しやすい姿勢となるようにクレーンでブロックを反転して溶接を行います。溶接後は、目視による外観検査と、溶接内部を確認する為の超音波探傷検査を行い、所定の品質を確保しているか検査します。
部材完成後に所定の寸法や形状となっているのか、現地でトラブルなく架設できるのかを確認するため、屋外で現地での完成形状と同じようにブロックを組立(仮組立)します。また、構造によってはブロック毎の3次元計測データを用いて机上で仮組立(シミュレーション仮組立)を行う場合もあります。
※デジタルカメラ三次元計測システムによるシミュレーション仮組立
仮組立後は、ブロックごとに塗装を行います。塗装は雨風や結露が品質に影響するため、湿度や温度を管理する事が出来る移動ハウスを使用して行います。
塗装まで完了したブロックは、トレーラによる陸上輸送もしくは重量物を運搬する船での海上輸送で現地まで運搬します。