サステナビリティ 環境への取り組み

基本方針

宮地エンジニアリンググループ(=MEG)は、社会的な課題に取り組むことは企業としての社会的責任(=CSR)の一環であると考え、
グループ共通の価値観・倫理観・具体的行動基準である「企業行動憲章」および「行動規範」を定めて、CSR活動を推進します。

環境に配慮した取り組みについて

私たちは、工場・工事現場で発生する廃棄物の抑制等に取り組みます。
特に建設副産物についてはリサイクルや適正処理に十分配慮した事業活動を行います。
また、事業活動の全過程において、環境負荷の低減を目指し、省資源・省エネルギー化を推進し、地球環境の保全や温暖化防止のために努力します。
また、社会インフラづくりに資する新設橋梁事業はもとより、インフラの老朽化に対する橋梁の保全・更新事業そのものが「環境配慮型社会の実現」に資するものと捉え、積極的な事業展開を図っております。

環境負荷低減への取り組み

【太陽光発電について】

私たちは、気候変動対策の一環として、松本工場跡地を利用して太陽光発電所を稼働させております。
設置している太陽光パネルは7,980枚、発電量は一般家庭550世帯分の消費電力に相当する2,611,000kWh/年であり、年間469,858kgのCO2削減効果があります。
今後も工場や機材センター等の建屋上への設置についても検討を進め、更なるCO2削減に努めてまいります。

省資源・省エネルギー化推進への取り組み

【工場における具体的な活動について】

すでに多くの省資源・省エネルギー化活動に取り組んできた工場においては、環境負荷を大幅に低減できる施策はなかなかないため、設備更新などに合わせて少しずつ対策を積み上げていくことが重要となります。照明を順次LEDに取り換え、電力使用量を従来機種よりも10%以上低減できるデジタル溶接機や電動のトーイングトラクターの導入を進めるとともに、各種設備の稼働率を上げるなどの工夫により、環境負荷の低減を進めています。

【機材センターにおける具体的な活動について】

機材センターの環境負荷を低減するため、太陽光発電の導入や電動フォークリフト導入などの検討を進めています。最新の広島機材センターは、オール電化事業所として2020年より稼働しています。また、2022年度より更新工事を始めた栗橋機材センターにおいては、太陽光発電の導入を予定しています。さらには、電動フォークリフトの導入や有機溶剤の使用量削減を目標とした機材のメッキ処理推進などを順次進めており、周辺環境、職場環境の改善にも取り組んでいます。

地球環境保全への取り組み

【サンゴの保全活動について】

私たちは、流電陽極法によって電気防食している浮桟橋で、電場が0~100mA/㎡の範囲において比較的強い場所を選ぶようにサンゴが生育していることを発見し、石垣港の沖合に電場条件の異なるサンゴ生育棚を4基設置し、無性生殖のサンゴ片を各棚に60個取り付け、成長促進効果について10年以上にわたって観察を行いました。その結果、微弱な電場はサンゴの成長を明らかに促進し、さらには微弱電流によって温度耐性が向上することが示唆されました。これらの知見を活用して、私たちはこれからもサンゴの保全活動に取り組んでまいります。

気候関連財務情報の開示について

【気候変動に対する宮地エンジニアリンググループとしての取組方針】

ⅰ) 当社グループは気候変動を重要な経営課題の一つとして認識し、2023年度より当社グループの事業活動に伴うGHG(CO2換算)排出量の開示を開始しています。当社グループは開示の質・量の高度化を進めており、2023年度に開示したScope1、2(2021年度実績)に加え、2024年度からは直接・間接排出以外のScope3 (2022年度実績)の開示も行います。
ⅱ) 組織的対応としては、2022年度に実施したコンプライアンス・リスク管理基本規程の改定に加え、2023年度には環境対策を含むマテリアリティの設定を行うとともに、代表取締役を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置し、気候変動問題に対する取締役会レベルでの関与をさらに強化しました。また、当社グループに対する環境影響を測るシナリオ分析、リスク・機会分析も開始します。
ⅲ) 今後も、当社グループはサステナビリティ推進委員会における活発な議論を通じ、取締役会レベルでもカーボンニュートラル方針の深化・強化を進めることで、ガバナンスを強化して全社一丸となり、気候変動課題への取り組みをより一層進めます。

【開示項目】

当社グループの事業活動に伴う自社のGHG(CO2換算)排出量を公表(2022年度分)

Scope 1: 770.22トン (前年比増加+34%) ※2023年度時点ではScope3と想定していた項目を見直したために増加
Scope 2: 2,329.81トン (前年比減少△6%)
Scope 3: 184,290.50トン (本年度より開示)
2022年度の当社グループScope1、2、3のGHG排出量算出結果は以下のとおり。全体の排出量は187,391t-CO2であり、Scope3排出量が全体の98.3%を占める結果となった。
Scope 1 770.22 t-CO2eq
Scope 2 2,329.81 t-CO2eq
Scope 3 184,290.50 t-CO2eq
上流 184,290.50 t-CO2eq
下流 0.00 t-CO2eq
総排出量 187,390.53 t-CO2eq
2022年度のScope3のGHG排出量算出結果は以下のとおり。最大の排出源は 、カテゴリ1の購入製品・サービスであり、Scope3のうち98%を占める結果となった。
カテゴリ 総排出量
(t-CO2eq)
Scope3排出量に
占める割合
カテゴリ1 180,108.51 97.7%
カテゴリ2 1,690.61 0.9%
カテゴリ3 497.21 0.3%
カテゴリ4 663.36 0.4%
カテゴリ5 57.27 0.0%
カテゴリ6 798.76 0.4%
カテゴリ7 474.78 0.3%
184,290.50 100.0%

【排出削減目標】

直接排出(Scope1)および間接排出(Scope2)に つ き ま し て は 、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、2024年度より計画的に検討を進めていきます。

【気候変動に関するシナリオ分析に基づくリスク・機会への考察】

ⅰ) 2024年度より、当社グループに影響を与える気候変動関連のシナリオ分析を行い、環境影響から生じるリスク・機会の考察を開始します。想定されるシナリオとしては、国連気候変動政府間パネル(IPCC)の設定する1.5℃シナリオ(温度上昇を積極的に抑制)と4.0℃シナリオ(現状の延長線)を採択しています。
ⅱ) 当社グループ全体としてリスクサイドのみならず、機会サイドについても将来の事業の進展に資するものと捉え、今後も積極的に分析の高度化を図っていきます。

【グループ全体のガバナンス強化】

ⅰ) 2022年度のコンプライアンス・リスク管理基本規程の改正に加え、2023年度は取締役会にて気候変動対策を含んだマテリアリィの策定・設定を行いました。
ⅱ) 当社代表取締役を委員長、取締役を副委員長とするサステナビリティ推進委員会のもとに、気候変動対策・カーボンニュートラル検討分科会を設置し、気候変動対策に関する積極的な議論を行い、2050年のカーボンニュートラルに向けた対策を推進します。
ⅲ) 取締役会への気候変動課題の報告などをより積極的に推進し、同時に経営陣の関与をさらに高めるためのガバナンス強化を進めています。

【シナリオ分析に基づくリスク・機会の考察】

ⅰ) 1.5℃シナリオ(積極的に緩和措置に対応)でのリスク
当社グループにおいての1.5℃シナリオ下のリスクは、主に以下の4点と想定されます。
政策・法規制:環境対応規制強化によるコスト上昇、政府の方針変更による工事発注量減少、炭素税導入によるコスト上昇
技術・製品:環境対応製品などの供給逼迫とコスト上昇、同製品などへの転用時の強度・安全性への懸念
市場:スペックの高度化・環境対応への負荷上昇、技術者・人員の不足。同業他社との競争熾烈化
レピュテーション・企業価値:環境対応遅延による株価低迷、入札機会の減少、採用活動への影響
リスク・機会 サプライ
チェーン
影響度
(短期)
影響度
(中期)
影響度
(長期)
説明
移行リスク 現行の規制 調達 カーボンプライシング制度の導入が進み、CO2排出権の価格が高騰すると予測されるため、温室効果ガスの排出量が多い産業にとってはコスト増の要因となると想定されている。また、低炭素製品や技術への投資失敗などの長期的な技術リスクがある。
売上
新たな規制 調達
売上
法規制 調達 訴訟エクスポージャーなどのリスクがあるが、当社グループの主要な調達先や顧客への大きな影響は予想されない。
売上
技術リスク 調達 低炭素製品や技術へのシフトが進むことによるコストの上昇や、安全性への対応が懸念される。
売上
市場リスク 調達 環境対応による原価の変動により一時的なリスクが考えられるが、インフラ事業は中長期的には安定すると考えられる。
売上
評判リスク 調達 環境対策が不十分であることにより調達先や取引先からの評判リスクが断続的に考えられる。
売上
ⅱ) 1.5℃シナリオ(積極的に緩和措置に対応)での機会
同時に、積極的な緩和措置に対応することで、当社グループへの機会も以下のとおり想定されます。
政策・法規制:電力のカーボンニュートラル化を先行的に進めることで、炭素税導入コストの軽減に資することが可能となり、コスト軽減につながる
技術・製品:環境対応部材への適応を積極的に進めることで、低排出型製品・サービスを提供することが可能
市場:発注仕様・要件の高度化・環境対応への高度化・スピード化により、マーケットシェア向上に資する
レピュテーション・企業価値:環境対応優良企業としての高評価を獲得
リスク・機会 サプライ
チェーン
影響度
(短期)
影響度
(中期)
影響度
(長期)
説明
機会 市場 調達 低排出技術の導入などを積極的に進めることによる炭素税導入コストの軽減。入札条件に低炭素が加わった場合の発注依頼増加。
売上
レジリエンス 調達 省エネルギー対策などの実施や再生可能エネルギー化により機会が生まれる。
売上
資源の効率性 調達 効率的な輸送手段や生産プロセスによる機会の創出。
売上
エネルギー源 調達 低排出エネルギー源を使用する建設の需要が高まり、新規受注につながる。
売上
製品・
サービス
調達 新技術の開発・導入などにより低排出のサービスを提供することで将来的に機会が見込まれる。
売上
ⅲ) 4.0℃シナリオ(現状の延長線上で推移)下のリスク・機会
4.0℃シナリオ下に想定される物理的リスクは、突発的に発生する急性リスクと恒常的な慢性リスクに大別される。
急性リスク
台風・豪雨・洪水の発生⇒土砂崩れ等による橋梁などの破損、橋梁架設・保全工事など対応時の事故リスク増加、保有機材の損壊
急激な天候変化⇒作業の安全性低下、機材の劣化・耐久性の低下
急性リスク由来の金属・非金属加工品の調達コスト上昇
慢性リスク
気温・湿度の上昇⇒野外労働環境の悪化・従業員の健康被害、塗料劣化・鋼材腐食による構造的劣化の危険、特に夏場の作業効率の低下
海面上昇⇒海上作業の危険性アップ、沿岸地区工場への悪影響
雨季の雨量増加⇒排水設備の強化・コスト増、工事中断リスクの顕在化
異常気象多発化による、電力供給の不安定化
リスク・機会 サプライ
チェーン
影響度
(短期)
影響度
(中期)
影響度
(長期)
説明
物理的リスク 急性リスク 調達 洪水、干ばつ、雪崩、熱波、山火事などあらゆる自然災害が予想される。主要調達のうち、金属加工や非金属加工は長期的になるほど影響を受け、調達コストが上昇する可能性がある。しかし、自然災害による橋の再建など、リスクのみではなく機会も生まれると考えられる。
売上
慢性リスク 調達 温度変化(空気・淡水・海水)、降水や風のパターン変化、海面上昇など自然の慢性的な変化を予想している。
建設業界においては夏場の作業効率の低下や雪や強風により工事がストップしたりなど、決して少なくはないリスクが考えられる。
売上
   4.0℃シナリオ下で予見される物理的リスクに対しては、当社グループとして以下のような対応(機会)を想定する。
急性リスク
台風・豪雨・洪水の発生⇒架け替えや新規架設のニーズ、耐風・耐水性機材の開発
急激な天候変化⇒安全性の高い設計・施工技術などの開発
災害発生由来の土木再建ニーズの増加
慢性リスク
気温・湿度の上昇⇒安全性の高い設計・施工技術などの開発、高耐久性素材や塗料などの導入検討、快適労働環境の整備(衣類など)
海面上昇⇒浮体式構造物の開発・導入、千葉工場の強靭化・改修
雨季の雨量増加⇒排水設備の強化・充実
気候変動多発化による、電力供給の不安定化⇒自家発電・バックアップ電源の整備